親が入院したら、ペットの世話は入院の長さで分けて考えます。

  • 今夜:鍵を持っている家族か、近所の人に、ごはん・水・トイレだけ頼む
  • 2週間くらいまで(編集部の目安):家族や近所の人が通う。通えなければ、家に来てもらうペットシッターか、ペットホテル
  • それより長い・退院が見えない:長く預かってくれるところを早めに探し、その先のことを家族で話す

ペットシッター・ペットホテル・老犬老猫ホームは、第一種動物取扱業の登録がある業者を選びます(出典:環境省「第一種動物取扱業者の規制」)。

漫画①『さとみさんちの実家じまい日記』「ミケのごはん、誰があげる?」

漫画「ミケのごはん、誰があげる?」。母ふみが2週間入院すると聞いたさとみは、実家の猫ミケのごはんに気づく。談話室のふみは、鍵はお隣の鈴木さんに預けてあると笑う。夜の実家でごはんを食べるミケの横で、ぽん助が「まず"今夜"、次に"2週間"。順番に考えるぽん」と話す。※この漫画はフィクションです
※この漫画はフィクションです タップで拡大
漫画の内容を文字で読む
  1. 1コマ目:夜、東京の自宅でスマホを耳に当てるさとみ「2週間の入院…分かりました」
  2. 2コマ目:はっと顔を上げるさとみ「ミケのごはん!」
  3. 3コマ目:病院の明るい談話室で、スマホで話すふみ「鍵は、お隣の鈴木さんに預けてあるわ」
  4. 4コマ目:夜の実家の縁側で、ごはんを食べるミケの横のぽん助「まず"今夜"、次に"2週間"。順番に考えるぽん」

入院の長さで変わる預け先【早見】

結論:「今夜」「2週間くらいまで」「それより長い」の3つで、頼む先が変わります。

「2週間」は、この記事で考えやすくするための編集部の目安で、公的な決まりではありません。入院の見込みに合わせて読みかえてください。

入院の長さで変わる預け先。今夜は鍵を持つ家族・近所の人に1回分だけ頼む。2週間くらいまでは家族が通うか、ペットシッター・ペットホテル。それより長いときは長く預かってくれるところを早めに探す。業者は第一種動物取扱業の登録を確かめる。
いつまでまず頼む先ペットの居場所ポイント
今夜(〜24時間)鍵を持っている家族・近所の人家のままごはん・水・トイレだけ。1回でいい
2週間くらいまで家族・近所の人/ペットシッター/ペットホテル家のまま、または預け先通える人がいるかで決める
それより長い・未定ペットホテルの長期/老犬老猫ホームの預かり/家族の家預け先早めに探す。契約の中身を確かめる

← 表は横にスクロールできます →

神奈川県動物愛護センターも、飼い主の急な入院などに備える方法として、親戚・近所・友人に頼む、ペットホテル、ペットシッター(家に来てもらう)、老犬・老猫ホームなどの短期〜長期の預かりを挙げています(出典:神奈川県動物愛護センター「一時預かり先の確保」)。


まず今夜:ごはん・水・トイレだけ確保する

結論:今夜は「預け先」を決めなくて大丈夫です。ごはん・水・トイレの1回分を、鍵を持っている人に頼みます。

鍵を持っている人・近所の人に、1回だけ頼む

離れて住んでいると、その日のうちに実家へ行けないこともあります。そんなときは、合鍵を持っている人や、ふだんから付き合いのある近所の人に、「今夜だけ」と区切ってお願いします。区切ると、頼まれる側も引き受けやすくなります。

頼むことは3つだけです。

  • いつもの場所にあるごはんを、いつもの量だけ皿に入れる
  • 水を新しくする
  • トイレの砂(犬ならペットシーツ)を確かめる

犬の場合は、散歩をどうするかも聞いておきます。散歩が難しければ、今夜は家の中で過ごしてもらい、翌日以降に家族かシッターが行く、と決めれば十分です。

一人暮らしの親の「頼れる近所の人」は、元気なうちに決めておくと、こういうときに助かります。

近所の人との連絡カードの作り方は、一人暮らしの親が心配になったら最初にやる5つで説明しています。

入院した親に、電話で聞く5つ

ペットのことを一番よく知っているのは親です。話ができる状態なら、次の5つを聞いてメモします。

入院した親に電話で聞く5つ。ごはん、トイレ、かかりつけの動物病院、薬・気をつけること、隠れる場所・性格。全部聞けなければ、ごはんと動物病院を先に。
  1. ごはん:どこに置いてあるか、1回の量と回数、いつも食べている物(袋の写真があると間違えにくい)
  2. トイレ:砂やシーツの置き場所、掃除のしかた
  3. かかりつけの動物病院:病院の名前と、診察券のある場所
  4. 薬や気をつけること:飲んでいる薬はあるか、食べてはいけない物はあるか
  5. 隠れる場所・性格:知らない人が来たときにどこに隠れるか、さわられるのが苦手か

ごはんは「いつもの物を、いつもの量」を伝えるだけで十分です。急に別の物に変えると食べない子もいるので、預け先にも同じ物を渡します。

入院の直後は、親も疲れています。一度に全部聞けなければ、1と3だけ先に聞き、残りは翌日でかまいません。

頼める人が見つからないとき

近所に頼める人がいない、家族もその日に行けない、ということもあります。その場合は、次の順に当たってみます。

  1. かかりつけの動物病院に電話して、預かりや、近くで頼める先を知らないか聞く
  2. 親の家の近くのペットシッターに、翌日の朝いちばんに来てもらえないか聞く(探し方は下の「登録の確かめ方」)
  3. 入院した病院の相談窓口(「医療相談室」「地域連携室」など、名前は病院によって違います)に、「家にペットが残っていて心配」と伝えてみる。ペットを預かる所ではありませんが、入院中の暮らしの困りごととして、相談先を一緒に考えてもらえることがあります

予定の入院なら、2〜3週間前から準備できる

手術などで入院の日が先に決まっているなら、時間に余裕があります。環境省のパンフレットは、ペットホテルやペットシッターを前もって探し、試しに短い期間使ってみることをすすめています(出典:環境省「共に生きる 高齢ペットとシルバー世代」)。

  • 入院の2〜3週間前:預け先の候補に連絡し、空きと条件を聞く
  • 1〜2週間前:シッターなら打ち合わせ、ホテルなら1泊だけ試す
  • 前日まで:ごはん・トイレ用品・薬・ワクチンの記録をまとめ、下の「ペットのメモ」を渡す

入院の長さで選ぶ:預け先の比べ方【分岐図・比較表】

結論:「2週間くらいまでか(編集部の目安)」「通える人がいるか」の2つで、預け先はほぼ決まります。

入院の長さで選ぶ預け先の流れ図。2週間くらいまでで家族・近所の人が通えるならお願いする。通えず家から動かさないほうがいいならペットシッター、散歩が要るならペットホテル。長い・分からないときは長く預かってくれるところを探し、家族で決める。1週間ごとに見直す。

入院の見込みは、病院の説明で変わることもあります。最初に「2週間くらい」と聞いても、1週間ごとに見直すつもりでいると、あわてずにすみます。

預け先の5つのタイプの比較表。家族・近所の人、ペットシッター、ペットホテル、動物病院の預かり、老犬老猫ホームの預かり。向いている場合と確かめることを並べている。料金は2〜3か所で見積もりを比べる。
預け先ペットの移動費用の考え方向いているとき頼む前に確かめること
家族・近所の人なし(家に通う)か、家族の家へお礼・交通費など短い入院。ペットが慣れている人がいる何日続けられるか。鍵の受け渡し
ペットシッターなし(家に来てもらう)1回ごと(時間・回数・距離で変わる)家から動かしたくない。猫や高齢の犬登録番号、鍵の預け方、報告のしかた
ペットホテルあり1泊ごと通える人がいない。毎日の散歩が要る犬登録番号、ワクチンなどの条件、期間
動物病院の預かりあり病院ごと持病や薬があり、見てもらいたいかかりつけで預かりをしているか。治療のための入院ではなくペットホテルとして預かるなら、登録番号(保管)
老犬老猫ホームの預かりあり月ごとなど入院が長い・退院が見えない「預かり」か「引き取り」か、契約の中身

← 表は横にスクロールできます →

料金は、地域・ペットの大きさ・回数・期間で大きく変わり、公的な相場の資料もありません。2〜3か所に、同じ条件で見積もりをもらって比べます。


頼む前に確かめる「第一種動物取扱業」の登録

結論:ペットシッター・ペットホテル・老犬老猫ホームは、登録が必要な仕事です。登録番号を見て、自治体の名簿で確かめます。

お金をもらってペットを預かる仕事(ペットホテル・ペットシッターなど)や、お金を受け取ってペットを引き取って飼う仕事(老犬老猫ホーム)は、第一種動物取扱業として、都道府県や政令指定都市などの登録を受けなければなりません。ペットシッターのように施設を持たない場合も対象です(出典:環境省「第一種動物取扱業者の規制」)。

登録の確かめ方。事業所の標識、シッターの識別章を見て、自治体の名簿と名前・登録番号・種別・有効期間を照らし合わせる。標識の架空の見本つき。

確かめ方は3ステップです。

  1. 標識を見る:登録した業者は、事業所の出入口から見やすい位置に、名前・登録番号などを書いた標識を掲げることになっています(動物愛護管理法 第18条、同法施行規則 第7条)。標識には、業者の名前、事業所の名前と所在地、業の種別(「保管」など)、登録番号、登録の年月日と有効期間の末日、動物取扱責任者の名前が書かれます(同規則 第7条)。自治体によっては、標識の代わりに登録証を掲げていることもあります(例:大阪府)
  2. シッターは識別章も見る:家に来て仕事をする場合は、名前や登録番号などを書いた識別章を、胸など見やすい位置に付けることになっています(同規則 第7条)。初めて会うときに、見せてもらいましょう
  3. 自治体の名簿と照らし合わせる:多くの自治体が、登録している業者の一覧を公開しています(例:東京都動物愛護相談センター『第一種動物取扱業の登録について』の『7 第一種動物取扱業者一覧』)。業者の名前・登録番号・種別・有効期間の末日(満了年月日)が合っているかを見ます

業者のホームページやチラシなどの広告にも、名前・事業所・種別・登録番号・登録の年月日と有効期間の末日・動物取扱責任者を載せることになっています(第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令 第2条第7号ケ)。載っていないときは、電話で「第一種動物取扱業の登録番号を教えてください」と聞いてみましょう。登録している業者なら、標識に書いてあるのと同じ情報です。

熊本市も、ペットホテル・ペットシッター・老犬老猫ホームのほとんどは登録を受けて営業していて、各自治体が一覧を公開している、と案内しています(出典:熊本市「ペットと暮らすシニア世代の皆様へ」)。

名簿から、親の家の近くの業者を探す

自治体の名簿は、確かめるだけでなく、探すときにも使えます。

  1. 親の住む都道府県(政令指定都市や、一部の中核市なら、その市)の「第一種動物取扱業」のページを開く
  2. 種別が「保管」の業者(ペットホテル・ペットシッター)の中から、親の家に近い所在地のものを選ぶ
  3. 2〜3か所に電話して、対応できる地域・空き・料金・打ち合わせの方法を聞く

登録の窓口は、法律では都道府県と政令指定都市ですが、一部の中核市が受け持っている地域もあります(例:神奈川県では横浜市・川崎市・相模原市のほか、横須賀市が窓口)。どこを見ればいいか分からないときは、都道府県の動物愛護の担当に聞けば教えてもらえます。

口コミやランキングは、参考にはなっても、登録の代わりにはなりません。登録・打ち合わせ・書面の3つで決めましょう。


ペットシッター:猫や高齢の犬を「家から動かさない」

結論:家から動かしたくないなら、ペットシッターに家へ来てもらう方法があります。頼む前に、鍵・報告・緊急時の3つを決めます。

漫画②『さとみさんちの実家じまい日記』「知らない場所は苦手なの」

漫画「知らない場所は苦手なの」。ビデオ通話のたくやが静岡に連れてくればと言うが、さとみは押し入れから目だけ出すミケを見て、知らない場所だと隠れてしまうと話す。パソコンでペットシッターのサイトの登録番号を見つけたさとみに、ぽん助が「名簿で確かめて、会ってから決めるぽん」と教える。※この漫画はフィクションです
※この漫画はフィクションです タップで拡大
漫画の内容を文字で読む
  1. 1コマ目:スマホのビデオ通話のたくや「静岡のうちに連れてくれば?」
  2. 2コマ目:押し入れのすき間から目だけ出すミケと、さとみ「ミケ、知らない場所だと隠れちゃうのよ」
  3. 3コマ目:パソコンでシッターのサイトを見るさとみ「登録番号、ここに書いてある」
  4. 4コマ目:ぽん助「名簿で確かめて、会ってから決めるぽん」

ペットシッターは、家に来て、ごはん・水・トイレの掃除・散歩などをしてくれるサービスです。熊本市は、環境の変化によるペットのストレスを軽くしたいときに役立つ、と紹介しています(出典:熊本市)。

家族の家に連れて行く方法もあります。ペットがその家族に慣れていて、家族の暮らしに無理がなければ、いちばん自然な選択です。迷うときは、ペットの性格(知らない場所が平気か)と、家族の家の事情(ほかの動物、仕事、住まいの決まり)で考えます。

シッターに頼む前に決めること

シッターに頼む前に決めること。登録の確認、会って決める、鍵の受け渡し、報告の方法、具合が悪いときの連絡、料金と取り消し。
  • 登録:登録番号と有効期間を、自治体の名簿で確かめたか
  • 会って決める:家族が立ち会えるときに一度来てもらい、ペットと会ってもらう(打ち合わせの方法は業者に聞く)
  • 鍵の預け方:鍵の受け渡しと返し方、鍵をなくしたときの対応を書面で
  • 報告のしかた:毎回、写真やメッセージで「食べた量・トイレ・様子」を送ってもらえるか
  • 緊急時:具合が悪そうなときに連れて行くかかりつけの動物病院と、家族の連絡先の順番
  • 料金と取り消し:1回の料金、交通費、急に回数を増やす・減らす・やめるときの扱い

親が「知らない人を家に入れたくない」と思うこともあります。そのときは、家族が最初の1回に立ち会う、入る部屋を決める(ペットのいる部屋と台所だけ、など)と伝えると、受け入れてもらいやすくなります。

親の家にカメラを置くなら

シッターや近所の人に頼んでいても、離れて住む子は「ちゃんと食べているかな」と気になるものです。カメラなどの機器で様子を見る方法もありますが、親の家の中を映すことになります。

  • 置く前に、親に話して、いいと言ってもらう
  • 映すのはペットのごはんの場所やトイレの近くだけにする
  • 退院したら外すか、続けるかを、そのとき親が決める

カメラは、ごはんを食べたか・トイレに行ったかが分かる、くらいの道具です。具合の変化までは分からないので、シッターや近所の人の報告と合わせて使います。

カメラで「映していい場所・映さない場所」を親と決める方法は、親の見守りサービスの選び方でくわしく説明しています。


ペットホテル・動物病院:預ける前の条件を確かめる

結論:ペットホテルは、ワクチンなどの条件を決めていることがほとんどです。予約の前に「条件・料金・送り迎え」を聞きます。

神奈川県動物愛護センターは、ペットホテルではワクチン接種済みなどの条件を決めていることがほとんどなので、預けるための条件や料金、移動の手段を前もって確かめておくとよい、と案内しています(出典:神奈川県動物愛護センター)。

聞いておくことは次のとおりです。

  • 預けられる期間(何泊まで、延長できるか)
  • ワクチンや、ノミ・ダニの予防などの条件。証明書が要るか
  • 1日の過ごし方(犬なら散歩の回数、猫なら個室か)
  • 体調が悪くなったときに、どの動物病院に連れて行くか
  • 送り迎えをしてもらえるか(実家から遠い場合)

ワクチンの記録や診察券は、かかりつけの動物病院に聞けば分かることが多いです。親の家にある「ペットの健康手帳」や、病院からもらった紙も探してみましょう。環境省のパンフレットも、ワクチン接種などの記録をつけた健康手帳を作っておくと、緊急のときに役に立つとしています(出典:環境省「共に生きる 高齢ペットとシルバー世代」)。

かかりつけの動物病院が預かりをしていることもあります。治療のための入院とちがい、動物病院がペットホテルとして預かる場合は、第一種動物取扱業(保管)の登録が要ります(出典:大阪府「動物取扱業に関するFAQ」)。持病や薬があるペットなら、まずかかりつけに相談すると話が早く進みます。


退院が見えないとき:長い預かりと、家族の話し合い

結論:入院が長くなりそうなら、早めに長く預かってくれるところを探し、「誰が契約して、誰が払うか」を家族で決めます。

環境省のパンフレットも、長い期間預けたいときは、早めに相談するよう呼びかけています(出典:環境省)。預け先には、ペットホテルの長期の預かりや、老犬・老猫ホームの短期〜長期の預かりなどがあります(出典:神奈川県動物愛護センター)。

老犬老猫ホームは「預かり」か「引き取り」かを確かめる

老犬老猫ホームには、一時的に預かる契約と、ペットを引き取って最後まで世話をする契約があります。環境省の分類でも、老犬老猫ホームは「有償で動物を譲り受けて飼養を行う業(譲受飼養業)」の例です(出典:環境省)。

親が退院したらペットを戻したいなら、契約の前に次のことを確かめます。

  • この契約は「預かり」か、「引き取り(ペットの持ち主が変わる)」か
  • 名簿の種別も見る。預かりなら「保管」、引き取りなら「譲受飼養」の登録が要ります(東京都の名簿では「その他(譲受飼養)」と書かれています)。両方の登録をしている事業所もあります
  • 預かりなら、いつでも迎えに行けるか、途中でやめるときの費用
  • 面会できるか、様子の報告はあるか

家族で決める3つ

  1. 誰の名前で契約するか(親が入院中なら、子の名前で契約することが多い)
  2. 費用を誰が払うか(親のお金から出すなら、そのことを親と話す)
  3. 退院したら戻すか(親の体調によっては、退院後も世話を手伝う形を考える)

ペットの持ち主には、できるだけペットが命を終えるまで適切に飼うよう努める終生飼養の考え方があります(動物愛護管理法 第7条第4項)。手放すかどうかを急いで決める必要はありません。まずは「預かってもらう」で時間をつくり、親が話せるときに、親の気持ちを聞きながら決めていきます。


自治体・地域包括支援センターにも聞いてみる

結論:自治体の一時預かりは少ないものの、地域で始まっている例もあります。親の住む町の窓口に一度聞いてみる価値はあります。

自治体の動物愛護センターや保健所は、一時預かりをしていないところが多いです。たとえば神奈川県は、県の動物愛護センターや保健福祉事務所では一時預かりをしていない、と明記しています(出典:神奈川県動物愛護センター)。

一方で、新しい取り組みもあります。大阪府豊中市は2026年9月1日に「ペットの一時預かり事業」を始め、飼い主が入院などで犬や猫の世話をできないときに預かる「一時預かりボランティア」の募集を始めました。使えるのは、市内に住む飼い主で、親族や知人に頼めず、ペットホテルなども難しいときです。ボランティアの家で預かる形と、ボランティアが家に通う形があり、期間は原則3か月以内。フードや動物病院の費用は飼い主が払います(出典:豊中市「ペットの一時預かり事業を開始します」・「ペットの一時預かり事業実施要綱」(PDF)、2026年10月12日確認)。

こうした仕組みは地域によって違います。親の住む市区町村の動物愛護の担当に、「飼い主が入院したときのペットの預かりについて、案内はありますか」と聞いてみましょう。

親が「ペットがいるから入院できない」と、入院をためらっているときは、地域包括支援センターにも相談できます。ペットを預かる所ではありませんが、入院や介護の相談の中で、ペットのことも一緒に考えてもらえることがあります。

地域包括支援センターの探し方は、一人暮らしの親が心配になったら最初にやる5つにまとめています。


退院したら:次に備えて「ペットのメモ」を冷蔵庫に

結論:今回聞いたことを1枚にまとめて、冷蔵庫など目立つ場所に貼っておくと、次に何かあったときに誰でも動けます。

熊本市は、もしものときのために、次のことを「もしもノート」に書き、冷蔵庫など目立つ場所に貼っておくよう案内しています(出典:熊本市)。

冷蔵庫に貼るペットのメモの項目。名前・種類・年齢、手術、健康状態、かかりつけの動物病院、飼い主とお世話をお願いする人。ごはん・トイレ・隠れる場所も足しておくと便利。
  • ペットの名前・種類・性別・年齢
  • 不妊・去勢の手術をしたか
  • 健康状態・治療中の病気
  • かかりつけの動物病院
  • 飼い主の名前・住所・電話番号
  • お世話をお願いする人・場所(名前・住所・電話番号・施設の名前など)

ここに、今回の電話で聞いたごはんの量・トイレ・隠れる場所を足しておくと、預け先に渡すメモとしてもそのまま使えます。

神奈川県動物愛護センターは、ふだんから短い時間だけ預かってもらう練習をしておくと、ペットが不安になりにくく、災害のときにも役立つ、としています(出典:神奈川県動物愛護センター)。退院して落ち着いたら、今回お世話になったシッターや家族に、ときどき来てもらうのもひとつの方法です。


よくある質問

Q1. 保健所に、一時的に預かってもらえますか?

多くの自治体では、一時預かりはしていません(例:神奈川県)。保健所や動物愛護センターの「引取り」は、飼い主が飼えなくなったときの手続きで、一時預かりとは別のものです。困ったときは、まず親の住む町の動物愛護の担当に、一時預かりの案内があるかを聞いてみてください。

Q2. ペット保険で、預ける費用は出ますか?

加入している保険によって違います。親がペット保険に入っているなら、飼い主の入院のときの費用が対象になっているかを、保険証券や約款、契約概要で確かめるか、保険会社に問い合わせてください。

Q3. 親が「誰にも家に入ってほしくない」と言います。

気持ちは自然なことです。「家族が一緒に行く」「入るのはペットの部屋と台所だけ」「鍵は返してもらう」など、条件を決めて伝えると、受け入れてもらえることがあります。どうしても難しければ、ペットホテルや家族の家に預ける方法を考えます。

Q4. 犬と猫、両方いる(何匹もいる)ときは?

全部を同じところに預けなくてもかまいません。散歩が要る犬はホテルや家族の家、家にいたい猫はシッター、のように分けることもできます。何匹もいる場合は、預け先が受け入れられる数と料金の数え方(1匹ごとか)を最初に聞きます。


まとめ:「今夜」と「2週間」を分けて考える

漫画③『さとみさんちの実家じまい日記』「ちゃんと食べてる」

漫画「ちゃんと食べてる」。シッターから「今日も完食です」と届いたミケの写真を、さとみが談話室のふみに見せると、ふみは「よかった…ミケ、ちゃんと食べてる」と笑う。ビデオ通話のたくやが退院したらミケのメモを作ろうと言い、冷蔵庫の前でぽん助が「冷蔵庫に1枚、貼っておくぽん」と話す。※この漫画はフィクションです
※この漫画はフィクションです タップで拡大
漫画の内容を文字で読む
  1. 1コマ目:東京の自宅でスマホのメッセージを見るさとみ「"今日も完食です"だって」
  2. 2コマ目:病院の明るい談話室で、さとみのスマホの写真を見るふみ「よかった…ミケ、ちゃんと食べてる」
  3. 3コマ目:スマホのビデオ通話のたくや「退院したら、ミケのメモ作ろうよ」
  4. 4コマ目:実家の冷蔵庫の前で、ミケの横のぽん助「冷蔵庫に1枚、貼っておくぽん」
まとめ。今夜は1回分だけ頼む、入院の長さで選び業者は登録を確かめる、退院したらペットのメモを冷蔵庫に。
  • 今夜は、鍵を持っている人に、ごはん・水・トイレの1回分だけ頼む
  • 親に電話で5つ(ごはん・トイレ・動物病院・薬・隠れる場所)を聞く
  • 2週間くらいまでは、家族・近所、ペットシッター、ペットホテルから選ぶ
  • 頼む業者は、第一種動物取扱業の登録を名簿で確かめる
  • 長くなりそうなら、早めに長い預かりを探し、「預かり」か「引き取り」かを確かめる
  • 退院したら、ペットのメモを冷蔵庫に貼っておく

この記事を書いた人・運営者情報

  • 執筆:さとみ(やさしい終活ノート編集部)。親の終活・実家じまいについて、公的機関の情報をもとに、漫画と図解でわかりやすく整理して発信しています。
  • 運営:やさしい終活ノート(運営者情報/お問い合わせ)
  • このサイトについて:制度は法令(e-Gov)・環境省・自治体の情報で確かめています。広告には「PR」と表示し、漫画はフィクションです(広告掲載ポリシー)。

参考資料(2026年10月12日閲覧)

更新履歴

  • 2026年10月12日:記事を公開しました