親が施設に入っても、実家をすぐ空にする必要はありません。最初の1か月は、次の3つに分けて考えると迷いません。

  • すぐやる:冷蔵庫の食品、火の元・水回り、郵便、通帳や印鑑などの貴重品
  • 待つ:家具や服などの本格的な片付け(親の暮らしが落ち着き、家の行き先が決まってから)
  • 本人に聞く:思い出の品、手元に置きたい物、家をどうしたいか

あわせて、電気・ガス・水道・郵便・NHK・火災保険などの契約も、「止める」「続ける」を一つずつ決めていきます。

漫画①『さとみさんちの実家じまい日記』「勝手に捨てないでね」

漫画「勝手に捨てないでね」。施設に入ったふみが「家の物、勝手に捨てないでね」と念を押し、さとみは空き家の電気などをどうするか悩む。ビデオ通話のたくやは業者に全部頼めばいいと言い、ぽん助が「すぐやる・待つ・聞く、に分けるぽん」と教える。※この漫画はフィクションです
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  1. 1コマ目:施設の部屋で、ベッドに腰かけたふみ「家の物、勝手に捨てないでね」
  2. 2コマ目:うなずきながら困った顔のさとみ「うん。でも空き家の電気とか、どうしよう」
  3. 3コマ目:タブレットのビデオ通話のたくや「全部業者に頼めば早いじゃん」
  4. 4コマ目:ぽん助「すぐやる・待つ・聞く、に分けるぽん」

まずは「すぐやる・待つ・聞く」に分ける【早見】

結論:急ぐのは、傷む物・危ない物・大事な物だけです。家全体の片付けは、あとからで間に合います。

親が施設に入ったら実家は3つに分ける。① すぐやる、冷蔵庫の食品・火の元・水回り・郵便・通帳や印鑑などの貴重品、② 待つ、家具・服・食器などの本格的な片付け。暮らしが落ち着き、家の行き先が決まってから、③ 本人に聞く、思い出の品・手元に置きたい物・家をどうしたいか。家と家財は親の物。片付けは本人に聞きながら進めます。ぽん助「急ぐのは「傷む・危ない・大事な物」だけだぽん」。
分け方例理由
すぐやる冷蔵庫の食品、ガスの元栓、水回り、郵便物、通帳・印鑑・保険証券・権利証傷む・危ない・なくすと困る
待つ家具、家電、服、食器、本親が家に戻る可能性や、家の行き先で扱いが変わる
本人に聞くアルバム、手紙、趣味の物、仏壇まわり、家をどうしたいか親の物で、親の気持ちがある

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施設に入っても、家と家財は親の物です。片付けは本人に聞きながら進めます。

いつ何をする?時期別の進め方【表】

結論:入居前は「持っていく物」、入居後1か月は「家を守る」、長く暮らすめどが立ったら「本格的な片付け」の順です。

いつ何をする?時期別の進め方。入居前、持っていく物をそろえる、貴重品のありかを親と確かめる、入居〜1か月、家を守る、冷蔵庫・火の元・水回り・郵便。契約を止める・続けるに分ける、1〜3か月、様子を見る、親の暮らしが落ち着いたか。月1回くらい実家を見に行く、めどが立ったら、本格的な片付け、家をどうするか家族で話し、片付けの日程を決める。家に戻る可能性があるうちは、服・寝具・日用品はそのまま残します。
時期やること
入居前施設に持っていく物をそろえる。貴重品のありかを親と確かめる
入居〜1か月冷蔵庫・火の元・水回り・郵便。契約を「止める・続ける」に分ける
1〜3か月親の暮らしが落ち着いたか見る。月1回くらいは実家の様子を見に行く
長く暮らすめどが立ったら家をどうするか家族で話す。本格的な片付けの日程を決める

ショートステイからの入居や、リハビリのあと家に戻る予定がある場合もあります。戻る可能性があるうちは、服や寝具、日用品はそのまま残しておきましょう。

3つの箱で分ける:持っていく・保留・手放す

結論:「捨てる・残す」の2つに分けようとすると手が止まります。迷う物は「保留」の箱に入れて先へ進みます。

3つの箱で分ける。持っていく、施設で使う服・日用品、眼鏡・補聴器・薬、写真を少し、実家で保留、思い出の品、親が迷った物、きょうだいに聞きたい物、箱に日付を書く、手放す、壊れた物、使い切った物、同じ物がたくさん、親に一言聞いてから。コツ、迷ったら「保留」に入れて先へ進む。ぽん助「捨てる・残すの2つだと手が止まるぽん」。
  1. 持っていく:施設で使う服・日用品・眼鏡・補聴器・薬・写真を少し
  2. 実家で保留:思い出の品、親が迷った物、きょうだいの意見を聞きたい物。箱に日付を書いておく
  3. 手放す:壊れた物、使い切った物、同じ物がたくさんある物(どれも親に一言聞いてから)

施設の部屋は広くありません。持ち込める家具の大きさや、名前の書き方などは施設ごとに決まりがあるので、入居先の持ち物リストで確かめます。

施設に持っていく物の例。着る物、普段着・下着・パジャマ・上着(名前を書く)、身の回りの物、眼鏡・補聴器と電池・入れ歯の道具・歯ブラシ、薬と書類、飲んでいる薬・お薬手帳・保険証など(施設の指示に合わせて)、心が落ち着く物、家族の写真・小さな置物・使い慣れた湯のみ。持ち込める家具の大きさ・名前の書き方・貴重品の扱いは施設ごとに違います。入居先の持ち物リストで確かめます。※一般的な例です。必要な物は入居先の案内に従ってください。

電気・ガス・水道・郵便・NHK・火災保険はどうする?【早見表】

結論:全部まとめて止めないことです。片付けや見回りで使う物、家を守るのに要る物は続けます。

漫画②『さとみさんちの実家じまい日記』「止める前に、使う予定を」

漫画「止める前に、使う予定を」。空き家の実家で郵便物を手にしたさとみが電気・ガス・水道をどうするか迷い、ビデオ通話のたくやは全部止めればと言う。片付けで電気も水も使うと気づいたさとみに、ぽん助が「止める前に、使う予定を書き出すぽん」と教える。※この漫画はフィクションです
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  1. 1コマ目:実家の玄関で、郵便物の束を持つさとみ「電気、ガス、水道…どうしよう」
  2. 2コマ目:スマホのビデオ通話のたくや「誰も住まないなら、全部止めれば?」
  3. 3コマ目:台所の蛇口を指さすさとみ「でも、片付けに来るとき電気も水も使うよね」
  4. 4コマ目:ぽん助「止める前に、使う予定を書き出すぽん」
実家の契約、止める?続ける?。契約、考え方、連絡先、電気、片付け・見回りで使うなら続ける、電力会社、ガス、使わないなら止めることが多い。再開には立ち会いが要る(東京ガスの例)、ガス会社、水道、掃除・トイレで使うなら続ける。使わなくても基本料金がかかる、水道局、電話・ネット、見守り機器がつながっていないか確かめてから、各社、郵便、転居届で転送(届けた日から1年間)、郵便局、NHK、誰も住まなくなれば解約の対象、NHK、火災保険、自分で解約しない。空き家になったと伝えて聞く、保険会社。出典:日本郵便「転居・転送サービス」、NHK「受信契約の解約」、東京ガス「よくあるご質問」、東京都水道局(2026年10月10日確認)。
契約考え方連絡先
電気片付けや見回りで照明・掃除機を使うなら続ける契約している電力会社
ガス使う予定がなければ止めることが多い。再開(開栓)には立ち会いが要る(東京ガスの例)契約しているガス会社
水道掃除やトイレで使うなら続ける。使わなくても基本料金はかかる市区町村の水道局
固定電話・ネット親が施設から電話を使うか、見守りの機器がつながっていないかを確かめてから契約している会社
郵便転居届で施設や子の家へ転送できる(届けた日から1年間)郵便局
NHK実家に誰も住まなくなれば解約の対象。テレビを残すなら相談NHKふれあいセンター
火災保険自分で判断して解約しない。空き家になったことを伝えて扱いを聞く保険会社・代理店
新聞・宅配止める販売店・各社

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郵便は、転居届を出すと、旧住所あての郵便物を新しい住所へ1年間、無料で転送してもらえます。期間は「届けた日から」で、出すときは本人確認があり、登録には数日かかります(日本郵便)。親あての郵便を子が勝手に開けるのは避け、施設で一緒に見るか、親の了解を得ておきます。

NHKは、受信契約をしている住居に誰も住まなくなった場合や、テレビなどがすべてなくなった場合が解約の対象です(NHK「受信契約の解約」)。手続きはNHKふれあいセンターに連絡し、届出書を出します。

火災保険は、空き家になったときの扱いが保険会社や商品で違います。「親が施設に入った」「家財は残っている」「家族が月に何回見に行く」などを伝えて、続けられるか、補償がどう変わるかを聞きましょう。

本人に聞くときは「捨てていい?」ではなく「何を置きたい?」

結論:捨てる物を聞くより、残したい物を聞くほうが、親は答えやすくなります。

本人への聞き方言いかえカード。こう聞くと答えにくい、こう聞くと答えやすい、「これ、捨てていい?」、「この中で、手元に置きたいのはどれ?」、「もう使わないでしょ」、「次に来るとき、持ってきてほしい物はある?」、「家、どうするの?」、「この家を、どうしたいと思ってる?」。コツ、棚や押し入れの写真をスマホで見せながら聞く。ぽん助「残したい物から聞くと話が進むぽん」。
  • 「これ、捨てていい?」→「この中で、手元に置きたいのはどれ?」
  • 「もう使わないでしょ」→「次に来るとき、持ってきてほしい物はある?」
  • 「家、どうするの?」→「お母さんは、この家をどうしたいと思ってる?」

施設に通うときは、実家の棚や押し入れの写真をスマホで見せると、その場で話が進みます。

漫画③『さとみさんちの実家じまい日記』「何を置きたい?」

漫画「何を置きたい?」。施設の部屋でさとみが実家の棚の写真を見せ、手元に置きたい物を聞くと、ふみはアルバムと父の湯のみを選ぶ。さとみが次に持ってくると約束し、ぽん助が「"捨てていい?"より"何を置きたい?"だぽん」と声をかける。※この漫画はフィクションです
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  1. 1コマ目:施設の部屋で、スマホの写真を見せるさとみ「この中で、手元に置きたい物はどれ?」
  2. 2コマ目:写真を指さしてほほえむふみ「このアルバムと、お父さんの湯のみ」
  3. 3コマ目:メモをとるさとみ「じゃあ、次に来るとき持ってくるね」
  4. 4コマ目:ぽん助「"捨てていい?"より"何を置きたい?"だぽん」

空き家のあいだの見回り:月1回のチェック

結論:誰も住まない家は、傷みや郵便のたまりから周りに気づかれます。月に1回くらい、決まった所を見ます。

空き家の持ち主には、周りの暮らしに悪い影響が出ないよう、適切に管理するよう努める決まりがあります(空家等対策の推進に関する特別措置法 第5条)。

実家の「月1チェック」。風と水、窓を開けて風を通す・水を少し流す、郵便受け・玄関、チラシや郵便をためない、家の中、雨漏り・カビ・虫のあとがないか、外まわり、庭木や雑草がはみ出していないか、帰る前に、戸締まり・ガスの元栓。空き家の持ち主は、周りの暮らしに悪い影響が出ないよう適切な管理に努める決まりがあります。出典:空家等対策の推進に関する特別措置法 第5条(2026年10月10日確認)。
  • 窓を開けて風を通す/水を少し流す
  • 郵便受け・玄関まわりを片付ける
  • 雨漏り・カビ・虫のあとがないか
  • 庭木や雑草がはみ出していないか
  • 戸締まりと、ガスの元栓

遠くて通えないときは、近所の親戚に頼むか、見回りのサービスを使う方法もあります。

親の判断がむずかしくなってきたら

結論:家族だけで決めず、地域包括支援センターに相談します。お金や家の契約が絡むなら、成年後見制度も選択肢です。

親の判断がむずかしくなってきたら。こんなとき、相談先、話がかみ合わない、地域包括支援センター・ケアマネジャー、預金や家の契約が必要になった、成年後見制度の窓口(市区町村など)・司法書士・弁護士、家を売るときの税金、税務署・税理士。任意後見:親が元気なうちに、自分で後見人を選んでおく方法もあります。出典:厚生労働省「成年後見はやわかり」、国税庁 No.3302(2026年10月10日確認)。ぽん助「家族だけで決めないで、窓口に相談だぽん」。
こんなとき相談先
物忘れが増えて、片付けの話がかみ合わない親の住む町の地域包括支援センター、ケアマネジャー
預金の管理や家の売却など、契約が必要になった成年後見制度の窓口(市区町村・中核機関)、司法書士・弁護士
家を売るときの税金税務署、税理士

成年後見制度は、認知症などでひとりで決めるのが心配な人の、預貯金や不動産の管理、介護や施設の契約を支える制度です(厚生労働省「成年後見はやわかり」)。親が元気なうちに自分で後見人を選んでおく「任意後見」もあります。

家を売る場合、親が以前住んでいた家には、住まなくなってから3年目の年末までに売ると使える税の特例があります。ほかにも要件があるので、使えるかどうかは税務署か税理士に確かめます(国税庁 No.3302)。

片付けを業者に頼むなら

結論:本格的な片付けは、家の行き先が決まってから。見積もりのときに「保留の箱は触らない」と伝えます。

遠方で通えない、物が多いといった場合は、業者に頼む方法もあります。親が存命のうちの片付けは、残す物の指定がいっそう大事です。写真を撮って残す物のリストを渡し、作業の日は家族のだれかが立ち会うか、写真で報告してもらいましょう。見積もりの見方は遺品整理の費用は一軒家でいくら?、遠くから頼む方法は遠方の遺品整理を立ち会いなしでにまとめています。

よくある質問

Q1. 入居の日までに、実家を空にしないといけませんか?

持ち家なら、その必要はありません。賃貸住宅なら、退去の日が片付けの期限になるので、管理会社と日程を決めて逆算します(遺品整理はいつから始める?の逆算の考え方が使えます)。

Q2. 親は「全部取っておいて」と言います。

まずは無理に進めず、保留の箱を使います。傷む物・危ない物だけ片付けて、思い出の品は親が見られるように残しておきます。家の行き先を話し合うときに、もう一度相談しましょう。

Q3. きょうだいで意見が分かれます。

見回り・契約・片付けの役目と、かかったお金の記録の仕方を先に決めます。分け方の例は実家じまいの費用は総額いくら?の「誰が払う?」の節にあります。

まとめ:急ぐのは「傷む・危ない・大事な物」だけ

親が施設に入ったら覚えておく3つ。すぐやるのは3種類だけ、傷む物・危ない物・大事な物、本人に聞く、「捨てていい?」より「何を置きたい?」、契約は一つずつ、全部まとめて止めない。火災保険は契約先に聞く。まずは一つずつ、ぽん!。
  • すぐやる:食品・火の元・水回り・郵便・貴重品
  • 待つ:本格的な片付けは、暮らしが落ち着き家の行き先が決まってから
  • 本人に聞く:「何を置きたい?」から。契約は一つずつ止める・続けるを決める

家の行き先や片付けの始め方の全体は、実家じまいは何から始める?にまとめています。


この記事を書いた人・運営者情報

  • 執筆:さとみ(やさしい終活ノート編集部)。親の終活・実家じまいについて、公的機関の情報をもとに、漫画と図解でわかりやすく整理して発信しています。
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参考資料(2026年10月10日閲覧)

更新履歴

  • 2026年10月14日:記事を公開しました