実家じまいの総額は、家を「残す」「そのまま売る」「解体して売る」のどれを選ぶかで大きく変わります。4LDKの一軒家の例では、片付けだけなら22万〜60万円、古家付きで売るなら約74万〜112万円、解体して売るならそこに解体費(建て替え時の平均は約188万円)が加わります(架空のモデルケース)。
いちばん大きいのは解体費です。解体するかどうかは、不動産会社の査定を見てから決めると、払わなくてよいお金を払わずにすみます。
漫画①『さとみさんちの実家じまい日記』「全部でいくらかかるの?」
漫画の内容を文字で読む
- 1コマ目:タブレットのビデオ通話のたくや「で、実家じまいって全部でいくらかかるの?」
- 2コマ目:スマートフォンを見るさとみ「調べても、数字がバラバラで…」
- 3コマ目:写真の箱をはさんで、カップを持ったふみ「この家、どうするのがいいのかしらね」
- 4コマ目:写真の箱を持つさとみのそばで、ぽん助「総額は、家の行き先で変わるぽん」
実家じまいの費用は総額いくら?【3パターン早見表】
結論:残すなら片付け代、古家付きで売るなら+手続きと売却の費用、解体して売るなら+解体費。差を大きくするのは解体費です。
| パターン | かかる主な費用 | 総額の目安(架空のモデルケース) |
|---|---|---|
| ① 片付けだけして残す | 片付け | 22万〜60万円+毎年の維持費 |
| ② 古家付きで売る | 片付け+相続登記+仲介手数料+印紙 | 約74万〜112万円 |
| ③ 解体して更地で売る | ②+解体費 | 約224万〜262万円(解体150万円と仮定) |
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(4LDK・延床約100㎡・売却価格1,000万円、親が亡くなって子が相続したと仮定した架空の例。内訳と出典はモデルケースで説明しています)
お墓と、売って利益が出たときの税金は含めていません。墓じまいの費用は墓じまいの費用相場と内訳にまとめています。
家をどうする?選び方で費用が変わる【分岐図】
結論:手放すなら、まず「このままで売れるか」を査定で確かめ、売れにくいときに解体を考えます。
- 住む・貸す:片付けとリフォームが中心です(この記事の総額とは別)。
- 当面は残す:片付け代のほかに、固定資産税・保険・光熱費の基本料金・草取り・見回りの交通費が毎年かかります。下のシートに自分の家の金額を書き出すと、家族で比べやすくなります。
- 古家付きで売る:解体費を先に出さずにすみ、売れた代金から費用を払えることもあります。
- 解体して売る:一番大きな出費です。古い家は買い手に解体を求められることもあるので、査定のときに「このままで売れるか」を聞いてから決めましょう。
家を残すなら、傷みを防ぐ管理も大切です。市区町村から「管理不全空家」として勧告されると、土地の固定資産税の特例が外れます(出典:国土交通省)。家の行き先の話し合い方は実家じまいは何から始める?のSTEP6で紹介しています。
費用の内訳は5つ【図解】
結論:「片付け」「解体」「手続き」「供養・お墓」「売却」に分けると、自分の家に必要な費用が分かります。
① 片付け
一軒家の片付けは、遺品整理業者の紹介サービス「みんなの遺品整理」の公開目安で3LDKが17万〜50万円、4LDK以上が22万〜60万円です(出典:みんなの遺品整理、2022年8月時点)。物の量と運び出しやすさで変わります。見積書の見方は遺品整理の費用は一軒家でいくら?、買取で作業費を下げる方法は遺品整理と買取は一緒に頼むべき?で紹介しています。
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② 解体
構造・広さ・前の道の幅・庭木やブロック塀の有無で大きく変わります。全国の公的な統計は見当たりませんが、建設物価調査会の調べでは建て替え時の解体費(処分費を含む)の平均は約188万円でした(22件。出典:建設物価調査会「個人住宅工事費調査 報告書」2023年10月)。金額は2〜3社の見積もりで確かめ、決める前に解体の前の4つの確認も見ておきましょう。
③ 手続き(相続登記)
相続した家は、知った日から3年以内に相続登記が必要です(出典:法務省)。
- 登録免許税:評価額の0.4%(評価額1,000万円なら4万円)。令和9年3月31日までは、価額100万円以下の土地は免税です(出典:国税庁 No.7191)。
- 司法書士の報酬:土地1筆・建物1棟(評価額1,000万円)を1人が相続する例で全国平均74,888円です(出典:日本司法書士会連合会 報酬アンケート 2024年3月)。
親が存命で、親本人が売るときは相続登記はいりません。
④ 供養・お墓
仏壇の閉眼供養のお布施は、お寺や地域で違うので菩提寺に聞くのが確実です。墓じまいは家とは別に考えられます(墓じまいの費用相場と内訳)。
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⑤ 売却
- 仲介手数料:上限は、価格のうち200万円以下の部分5.5%、400万円までの部分4.4%、それを超える部分3.3%(税込)の合計で、1,000万円の家なら39.6万円です。800万円以下の家は特例で上限33万円までになることがあり、媒介契約のときに額を説明してもらい合意する決まりです(出典:国土交通省)。
- 印紙税:売買契約書は軽減後、500万円超〜1,000万円以下で5千円、1,000万円超〜5,000万円以下で1万円です(令和9年3月31日まで。出典:国税庁 No.7108)。
- 利益が出たときの税金:所有5年超なら所得税15%など(出典:国税庁 No.1440)。親本人が売るなら「マイホームの3,000万円特別控除」(住まなくなってから3年目の年末まで。No.3302)、相続した空き家なら「空き家の3,000万円特別控除」(令和9年12月31日まで・昭和56年5月31日以前の家など。No.3306)が使えることがあります。条件が細かいので、売る時期を決める前に税務署か税理士へ。
総額の積み上げ【架空のモデルケース】
結論:同じ家でも、残すなら約22万〜60万円、そのまま売るなら約74万〜112万円、解体して売るなら約224万〜262万円。差のほとんどは解体費です。
| 費用 | ① 残す | ② 古家付きで売る | ③ 解体して売る |
|---|---|---|---|
| 片付け(4LDK以上の目安) | 22万〜60万円 | 22万〜60万円 | 22万〜60万円 |
| 相続登記(税4万円+報酬 約7.5万円) | ― | 約11.5万円 | 約11.5万円 |
| 仲介手数料(1,000万円の上限) | ― | 39.6万円 | 39.6万円 |
| 売買契約書の印紙 | ― | 5千円 | 5千円 |
| 解体費(仮定) | ― | ― | 150万円 |
| 合計 | 22万〜60万円 | 約74万〜112万円 | 約224万〜262万円 |
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(前提はすべて架空:郊外の木造2階建て・4LDK・延床約100㎡、売却価格と評価額は1,000万円、解体費は150万円と仮定。出典は上の内訳①③⑤のとおり)
②③は売れた代金から払えることもあります。①は総額が小さく見えても、維持費が毎年続きます。
誰が払う?きょうだいでの分け方
結論:親が存命なら、家の持ち主である親のお金から本人の了解をとって払うのが基本。亡くなった後は相続人で話し合い、「お金」と「手間」を1枚の表にします。
漫画②『さとみさんちの実家じまい日記』「お金と手間を、1枚の表に」
漫画の内容を文字で読む
- 1コマ目:タブレットのビデオ通話のたくや「俺は通えないから、そのぶん交通費は半分出すよ」
- 2コマ目:さとみ「助かる。でも、片付けの費用はどうしよう」
- 3コマ目:ふみ「家のことは、私の貯金から出してちょうだい」
- 4コマ目:ノートに「お金」「手間」の表を書くさとみ。ぽん助「お金と手間を、1枚の表にするぽん」
- 親が存命のとき:売るか決めるのも、売主になるのも親本人です。判断力が落ちて成年後見を使うと、後見人が親の住まいを売るには家庭裁判所の許可がいります(出典:民法 第859条の3)。元気なうちに希望を聞いておきましょう。
- 亡くなった後:売れた代金から精算する、相続の割合で分けるなど、相続人どうしで決めます。相続放棄を考える人がいるなら、遺産を処分したり遺産から払ったりする前に司法書士・弁護士へ(遺品整理はいつから始める?)。
- 手間も数える:近くに住む人ほど通う回数が増えます。交通費を記録し、遠くの人が多めに負担する決め方もあります(例:遠方の実家の遺品整理を立ち会いなしで頼む方法)。
解体する前に確かめる4つ
結論:解体は「売り方を決めてから」。補助金は契約の前に申し込みます。
漫画③『さとみさんちの実家じまい日記』「解体は、売り方を決めてから」
漫画の内容を文字で読む
- 1コマ目:母が施設に入って1か月。実家の前で植木に水をやる叔母「空き家のあいだは、ときどき風を通しに来るわね」
- 2コマ目:さとみ「ありがとう、叔母さん。助かる!」
- 3コマ目:「査定書」と「解体見積書」を見比べるさとみ「壊してから売る?このまま売る?」
- 4コマ目:査定書を持つさとみのそばで、ぽん助「解体は、売り方を決めてからだぽん」
- 売り方を先に決める:不動産会社2〜3社に「このままで売れるか」を聞いてからにします。
- 補助金は契約・着工の前に:横浜市は古い木造住宅などの解体に上限50万円、名古屋市は危険な空き家に最大80万円を補助していますが、どちらも交付決定の前に契約・着工すると対象外です(出典:横浜市、名古屋市)。実家のある市区町村のホームページで「解体 補助」と検索してみてください。
- 石綿(アスベスト)の事前調査:解体部分の床面積が80㎡以上なら、調査結果の報告が必要です(出典:環境省)。調査費が見積もりに入っているか確かめましょう。
- 更地にすると固定資産税が上がりやすい:住宅が建つ土地は、200㎡以下の部分の課税のもとになる額を6分の1にする特例があり、解体するとなくなります(出典:総務省)。解体は売る時期に近づけると負担を抑えられます。
費用を抑えるコツと、お金がないときの選択肢
結論:先にまとまったお金を出さない順番を選び、見積もりは必ず比べます。
- 古家付きのまま売る:解体費を先に出さずにすみます。
- 片付け・解体・査定は2〜3社で比べる:金額だけでなく、追加料金の条件、解体なら付帯工事・家財の処分・石綿の調査・整地が含まれるかを見ます(業者選びは遺品整理の悪徳業者を見分ける7つのチェック)。
- 家財を先に減らす:売れる物は買取に出し、粗大ごみの収集も使うと、業者に頼む範囲を絞れます。
- 段階的に進める:「今年は片付けだけ」のように分けると一度の支払いが小さくなります(その間の維持費は上のシートで確認)。
- 補助金と特例の期限を先に調べる:順番を間違えると使えなくなります。
- 引き取り手がない土地は「相続土地国庫帰属制度」:建物がある土地は申請できず、審査手数料は1筆14,000円、負担金は20万円が基本です(出典:法務省)。
よくある質問
Q1. 片付けや解体の費用は、相続税の計算で差し引けますか?
国税庁が挙げる「相続財産から控除できる葬式費用」に、片付けや解体の費用は入っていません(出典:国税庁 No.4129)。家を売ったときの費用は、譲渡所得の計算で差し引けることがあります。税務署か税理士に確かめましょう。
Q2. 親が施設に入ったあと、家はいつまでに売ればいいですか?
決まった期限はありません。ただ、親本人が売ってマイホームの3,000万円特別控除を使うなら、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります(出典:国税庁 No.3302)。
Q3. マンションの実家じまいも同じですか?
片付け・手続き・売却の考え方は同じです。解体費はかかりませんが、売れるまで管理費・修繕積立金がかかります。
Q4. 補助金はどこで調べればいいですか?
実家のある市区町村のホームページで「解体 補助」「空き家 補助」と検索するか、建築・空き家の担当窓口に聞くのが早いです。契約・着工の前に申し込むのが条件のことがあるので、業者と契約する前に確かめましょう。
まとめ:総額は「家の行き先」と「順番」で決まる
- 総額:残すなら片付け代+維持費、古家付きで売るなら+手続き・売却の費用、解体して売るなら+解体費
- 順番:解体は売り方を決めてから。補助金は契約の前に。税金の特例には売る期限がある
- 誰が払う:親が存命なら親のお金から本人の了解をとって。亡くなった後はお金と手間を1枚の表に
まずは家族で家の行き先を話し、査定と見積もりを並べて比べるところから始めてみましょう。
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参考資料(2026年10月10日閲覧)
- 国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」(仲介手数料の上限・低廉な空家等の特例) https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html
- 国税庁 タックスアンサー No.7108・No.7191・No.1440・No.3302・No.3306・No.4129 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/
- 日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(2024年3月実施)」 https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/remuneration/
- 法務省「相続登記の申請義務化について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html 、「相続土地国庫帰属制度の概要」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html
- 民法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 建設物価調査会「個人住宅工事費調査 報告書」(2023年10月) https://www.kensetu-bukka.or.jp/wp-content/themes/custom/pdf/business/so-ken/shisu/kojinjutaku_report/kojinjutaku_report_2022.pdf
- 横浜市「住宅除却補助制度」 https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/bosai/taishin/hojokinshienseido/mokutai/jyuutakujyokyaku.html
- 名古屋市「老朽危険空家等除却費補助金」 https://www.city.nagoya.jp/bousai/anzen/1034530/1014550/1034531/1014557.html
- 環境省「石綿の事前調査結果の報告制度」 https://www.env.go.jp/press/110648.html
- 総務省「固定資産税の概要」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_08.html
- 国土交通省「改正空家法について 第2部」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001621264.pdf
- みんなの遺品整理「遺品整理費用は一軒家だといくら?」 https://m-ihinseiri.jp/article-1/ihinseiri/cost/ikkenya/
更新履歴
- 2026年10月10日:記事を公開しました