遠方の実家の遺品整理は、立ち会いなしでも頼めます。ポイントは、「鍵の渡し方」「残す物・探してほしい物のリスト」「写真とビデオ通話での報告」の3つを、契約の前に業者と決めておくことです。1回だけ帰省できるなら、その1回は「作業当日」ではなく「事前の仕分けと見積もり」に使うと、当日を安心して任せられます。

この記事で分かること

  1. 立ち会いなしで頼むときの全体の流れ(問い合わせから精算まで)
  2. 帰省1回で済ませるための、4週間前からの逆算スケジュール
  3. 見積もり用の写真の撮り方、鍵の渡し方3つの比較、兄弟での費用と役割の分け方

漫画①『さとみさんちの実家じまい日記』「通えない実家」

4コマ漫画「通えない実家」。母ふみが施設に入ると決めて片付けを頼み、写真と手紙は残してと伝える。東京のさとみは何度も通えないと悩み、弟たくやも土曜に1回帰れるかどうか。ぽん助が「決めることを先に決めれば頼めるぽん!」と声をかける。※この漫画はフィクションです
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  1. 1コマ目:母・ふみ「施設に入ることにしたの。片付け、お願いね」「写真と手紙は残してね」
  2. 2コマ目:夜、カレンダーの前のさとみ「東京から何度も通えない…」
  3. 3コマ目:ビデオ通話の弟・たくや「俺も土曜に1回帰れるかどうか…」
  4. 4コマ目:ぽん助「決めることを先に決めれば頼めるぽん!」
立ち会いなしで任せる3つの取り決め。①鍵:どう渡して、いつ・どう返してもらうか。②リスト:残す物・探してほしい物・迷ったら保留。③報告:作業前・途中・完了の写真とビデオ通話。3つとも契約の前に書面やメッセージで決めておく。

立ち会いなしでも遺品整理は頼める?

結論:頼めます。ただし「立ち会えない分を、事前の取り決めと報告で補う」ことが前提です。

遺品整理や実家の片付けを請け負う業者のなかには、鍵を預かって作業し、写真やビデオ通話で報告する「立ち会いなし」に対応しているところがあります。対応の有無や報告の方法は業者ごとに違うため、問い合わせの段階で確認します。

一方で、国民生活センターは、遺品整理で「処分しないように頼んだ物が処分された」といった相談事例を紹介し、残す遺品と処分する遺品を明確に分けること、作業時はできるだけ立ち会うことを呼びかけています(出典:国民生活センター「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」)。

つまり「立ち会いなし」は、何も決めずに丸投げすることではありません。立ち会いの代わりになる仕組み(リスト・写真・ビデオ通話・書面)を用意して任せる、という考え方です。

立ち会いなしで頼む7ステップ。1問い合わせ、2写真・オンラインで概算見積もり(2〜3社)、3訪問見積もり・仕分け(帰省1回はここに使う)、4契約(追加料金の条件・キャンセル料を確認)、5鍵を渡す、6作業(ビデオ通話や写真で確認)、7写真報告・鍵の返却・精算。
段階やること確認すること
①問い合わせ立ち会いなしで頼みたいと伝える鍵の預かり、写真報告、ビデオ通話に対応しているか
②概算見積もり写真や動画を送る、オンラインで家の中を見せる概算か確定か、追加料金が出る条件
③訪問見積もり・仕分け帰省できる場合は、この日に合わせる作業範囲、残す物の目印、搬出経路
④契約見積書・契約内容を書面(紙・PDF・メール)で受け取る作業日、作業内容、料金、支払い方法、キャンセル料
⑤鍵を渡す郵送・キーボックス・親族経由など返却の方法と日付
⑥作業ビデオ通話や写真で確認迷う物の扱い、追加作業の承認方法
⑦完了・精算写真報告を確認してから精算保留箱の送り先、鍵の返却、領収書

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親が存命か、亡くなった後かで気をつけること

  • 親が存命なら、家も物も親のものです。施設に入った場合も含めて、片付けてよい範囲と残したい物を、本人に確認してから進めましょう。
  • 親が亡くなった後で相続放棄を考えているなら、遺品に手をつける前に弁護士・司法書士に相談しておくと安心です。遺品の処分のしかたによっては相続放棄に影響することがあり、申述は原則として相続の開始を知ったときから3か月以内です(出典:裁判所「相続の放棄の申述」)。

実家じまい全体の順番(家族会議の進め方や、重要書類の「ありか」の確認)は、実家じまいは何から始める?最初の30日でやる7ステップで詳しく解説しています。


帰省1回で済ませる逆算スケジュール

結論:作業日を決めたら、4週間前から逆算します。帰省1回は「3週間前ごろ」に入れて、貴重品の確保・残す物の目印・見積もりをまとめて済ませるのがおすすめです。

帰省1回で済ませる逆算スケジュール。4週間前:方針・親の了解・問い合わせ。3週間前(帰省1回):貴重品と書類の確保、残す物に目印、写真撮影、訪問見積もり。2週間前:契約、鍵の渡し方、近所・管理会社に連絡。1週間前:鍵を送る、リスト最終確認、連絡方法。作業当日:ビデオ通話で確認。1週間後まで:写真報告・保留箱・鍵の返却・精算。

下の表は、作業日から逆算した一例です。物の量や業者の予約状況、賃貸の退去期限などによって前後します。

時期やることポイント
4週間前家族で方針を決める/親が存命なら本人の了解を得る/業者2〜3社に問い合わせる帰省できる日を先に押さえ、その日に訪問見積もりを入れられるか聞く
3週間前(帰省1回)通帳・印鑑・権利証などの貴重品と重要書類を確保する/残す物に目印をつけ、持ち帰れる物は持ち帰る/家じゅうの写真・動画を撮る/訪問見積もり1日に複数社の見積もりを入れる場合は、時間をずらして予約する
2週間前見積もりを比べて契約する/鍵の渡し方と返し方を決める/近所・管理会社・自治会に作業日を伝える契約内容は書面で受け取る
1週間前鍵を送る(追跡できる方法で)/「残す物・探してほしい物リスト」を最終版にして送る/当日の連絡方法(電話・ビデオ通話の時間)を決める作業で電気や水道を使うか、業者に確認しておく
作業当日開始時・途中・完了前にビデオ通話や写真で確認する迷う物は保留箱へ。追加作業は、その場で金額を聞いてから承認する
作業後〜1週間完了写真を確認する/保留箱を受け取る/鍵の返却を確認する/精算・領収書の受け取り写真で確認できてから支払うかどうかは、契約時に決めておく

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帰省を「作業当日」に合わせる方法もあります。その場合は当日に立ち会えるぶん安心感は大きい一方、仕分けや見積もりはすべて写真・オンラインで済ませることになり、当日になって「思ったより物が多い」と追加料金が出る原因になりがちです。どちらを選ぶかは、物の量と、残したい物がどれくらいあるかで決めましょう。

ぽん助

帰省の日は、やることが多くて慌ただしいぽん。貴重品・目印・写真・見積もりの4つだけは、メモにして持って行こうね


見積もり用の写真はこう撮る

結論:「部屋の四隅から」「収納は開けて」「出口までの道」「大きな物」の4種類を撮れば、写真での見積もりの精度が上がりやすくなります。

写真やオンラインでの見積もりは便利ですが、写っていない物は見積もりに入りません。撮り漏れがあると、当日の追加料金や「作業が1日で終わらない」原因になります。帰省したときに、次の順で撮っておきましょう。

見積もり用の写真はこの5か所を撮る。1部屋は四隅から対角線で2枚以上、2押し入れ・物置・天袋は扉を開けて中まで、3玄関・廊下・階段の幅、4大きな家具・家電はサイズ感が分かるように、5家の外(駐車できる場所・前の道・庭や倉庫)。
撮る場所撮り方見積もりで分かること
各部屋四隅から対角線で2枚以上。床が見えるように物の量、作業人数
押し入れ・物置・天袋・クローゼット扉を開けて、上段・下段とも見えない場所の物の量(追加料金になりやすいところ)
玄関・廊下・階段幅が分かるようにメジャーを当てる大型家具を運び出せるか、作業時間
大型の家具・家電1点ずつ、サイズ感が分かるように搬出の手間。家電リサイクル法の対象品の有無
家の外まわり駐車できる場所、前の道、庭・倉庫トラックの大きさ、外の片付けの有無
残す物目印をつけた状態で撮る「残す物リスト」と照らし合わせて確認できる

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撮った写真は、家族で共有できるフォルダにまとめ、ファイル名か写真の中に部屋の名前(例:「1階和室」「2階北の部屋」)が分かるようにしておくと、業者とのやり取りがスムーズです。

なお、エアコン・テレビ・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(衣類乾燥機)は家電リサイクル法の対象です。廃家電を引き渡すときにはリサイクル料金と収集運搬料金が必要になると環境省が案内しています(出典:環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」)。見積もりにこれらが含まれているかも確認しましょう。


鍵の渡し方3つ

結論:追跡できる方法で郵送する/キーボックスを使う/親族や管理会社に預ける、の3つが中心です。どの方法でも「誰が・いつ受け取り、いつ・どう返すか」を契約時に決めておきます。

鍵の渡し方3つ。郵送(追跡できる方法。簡易書留は補償あり)、キーボックス(番号は直前に伝え作業後に変える)、親族・管理会社に預ける。共通:鍵に住所や名前を書かない、渡すのは合鍵、返却の方法と日付を決める。
渡し方費用安全性手間向いているケース
郵送(追跡できる方法)郵便料金+書留などのオプション料金簡易書留は引受けと配達が記録され、亡失・き損は5万円を限度とする実損額の賠償。レターパックプラスは対面で受領印・署名をもらうが、損害賠償はない郵便局やポストから送るだけ。返却も同じ方法で頼む業者の事務所の住所が分かっていて、作業日まで日数がある
キーボックスボックスの購入費暗証番号の管理しだい。番号は作業の直前に伝え、作業後に変える帰省のときに設置する必要がある何度か業者が出入りする、作業が複数日に分かれる
親族・管理会社・近所の人に預ける謝礼などがかかる場合も顔見知りに預けられる安心感。預かる人の負担に配慮が必要預かる人と業者の日程調整が必要実家の近くに頼める人がいる、マンションなどで管理会社がある

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※郵送の補償・受け取り方法は日本郵便の書留・レターパックのページで確認できます(料金もこちらに載っています)。

どの方法でも、次の3つは共通のルールです。

  1. 鍵に住所や名前を書かない(タグやキーホルダーにも書かない)
  2. 渡すのは合鍵にして、元の鍵は家族が持っておく
  3. 返却の方法と日付を決め、返ってきたら家族に共有する

賃貸住宅の場合は、合鍵を作ったりキーボックスを付けたりする前に、管理会社や大家さんに確認しましょう。帰省したときに業者へ直接手渡しできるなら、それも選択肢の一つです。


「残す物」「探してほしい物」の伝え方

結論:写真に印をつけた「残す物リスト」と、言葉で書いた「探してほしい物リスト」を分けて渡し、迷う物は「保留箱」に入れてもらうルールにします。

立ち会いなしで特に避けたいのは、残したかった物が処分されてしまうことです。国民生活センターの事例でも、大切な書類等は残す約束だったのにアルバムまで処分された、という相談が紹介されています(出典:国民生活センター「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」)。「言ったはず」を防ぐには、目で見て分かる形で伝えることが大切です。

「残す物」の伝え方。A:部屋の写真に印をつけた残す物リスト。B:探してほしい物リスト(通帳・印鑑・保険証券・権利証・現金・貴金属・写真・手紙)。C:迷った物は保留箱へ→写真で一覧を送ってもらう→家族が決める。

残す物リスト(写真つき)

  • 部屋ごとの写真に、残す物を丸で囲んで番号をつける
  • 現地の物にも、同じ番号を書いた色つきの付箋やテープを貼る(帰省のとき)
  • 持ち帰れる大切な物は、帰省のときに持ち帰っておく

探してほしい物リスト(言葉で)

  • 通帳・キャッシュカード・印鑑・保険証券・権利証などの書類
  • 写真・アルバム・手紙・日記
  • 現金・貴金属・商品券など
  • 鍵(物置・金庫など)、契約書類、年賀状の束(連絡先の確認に使う)

保留箱のルール

  • その場で判断できない物は、捨てずに「保留」の箱に入れてもらう
  • 保留箱の中身は写真で一覧を送ってもらい、家族で決める
  • 保留箱を実家に置いておくか、自宅に送ってもらうか(送料はどちらが持つか)も決めておく

漫画②『さとみさんちの実家じまい日記』「アルバムが出てきました」

4コマ漫画「アルバムが出てきました」。ビデオ通話で業者のスタッフが押し入れから出てきたアルバムを見せ、さとみは全部残すよう頼む。手紙の束は母ふみが迷い、ぽん助が保留箱に入れるよう提案。スタッフが保留箱に入れて後で写真を送ると伝え、二人はほっとする。※この漫画はフィクションです
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  1. 1コマ目:スタッフ「押し入れからアルバムが出てきました」さとみ「全部残してください!」ふみ「新婚旅行のよ…」
  2. 2コマ目:スタッフ「この手紙は?」ふみ「少し考えさせて」
  3. 3コマ目:ぽん助「迷う物は保留箱へぽん!」
  4. 4コマ目:スタッフが手紙を「保留」の箱へ。「後で写真をお送りしますね」さとみ・ふみ「ほっ」

作業中・完了の確認方法

結論:「作業前・途中・完了」の3回、写真かビデオ通話で確認する約束をしておきます。完了の確認ができてから精算する流れにできるかも、契約時に相談しましょう。

作業中・完了の確認チェック表。作業前:各部屋の写真。作業途中:ビデオ通話で探し物・迷う物。完了時:各部屋・押し入れの写真と、残す物が残っているか。作業後:保留箱の中身、鍵の返却、精算が見積書どおりか。完了時は同じ場所・同じ角度で作業前と並べて見る。
タイミング確認すること方法
作業前各部屋の「作業前」の様子、残す物の目印が分かるか写真(作業前と後で同じ角度)
作業途中探してほしい物が見つかったか、迷う物はないかビデオ通話(時間を決めておく)
完了時各部屋の「作業後」の様子、押し入れ・物置の中、残す物が残っているか写真・ビデオ通話
作業後保留箱の中身、見つかった貴重品の受け渡し方法写真の一覧、配送の追跡番号
鍵・精算鍵が返ってきたか、請求額が見積書どおりか追跡番号、請求書・領収書

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追加の作業(予定になかった部屋の片付けなど)が出た場合は、作業の前に金額を聞き、家族が了解してから進めてもらうルールにしておくと、当日の追加料金のトラブルを防ぎやすくなります。


兄弟での費用と役割の分け方

結論:お金の分け方を決める前に、まず「役割」を分けます。遠方のきょうだいにも、離れていてできる役割があります。決めたことはメッセージなどで形に残しましょう。

漫画③『さとみさんちの実家じまい日記』「費用はどう分ける?」

4コマ漫画「費用はどう分ける?」。弟たくやが見積もり2社を表にして見せ、さとみが費用と交通費の分け方を心配する。ぽん助が先に役割を分けるよう助言し、たくやから役割と費用の分け方を書いたメッセージが届く。※この漫画はフィクションです
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漫画の内容を文字で読む
  1. 1コマ目:たくや「見積もり2社、表にしたよ」
  2. 2コマ目:さとみ「費用はどうする?交通費も…」
  3. 3コマ目:ぽん助「先に役割を分けるぽん!」
  4. 4コマ目:たくやからのメッセージ「窓口は姉ちゃん、支払いは俺。交通費も半分ずつで」さとみ「OK、これで残そう」
役割内容担当の例
窓口業者との連絡、日程調整、当日のビデオ通話さとみ(東京)
帰省・立ち会い帰省1回で貴重品の確保・目印・写真・訪問見積もりさとみ(東京)
見積もりの比較見積書を表にまとめて比べるたくや(静岡)
支払い・記録支払いの手続き、領収書や契約書の保管たくや(静岡)
書類・連絡近所・管理会社・親族への連絡、ライフラインの手続き分担して決める

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費用の分け方の例

  • 均等に分ける:遺品整理の費用に、帰省の交通費も含めた総額を人数で割る
  • 役割で調整する:帰省や窓口を担う人の交通費・時間を考えて、負担を少し軽くする
  • 親の資金から出す:親が存命で本人が希望する場合は、親のお金から支払う(使い道と金額を記録しておく)

親が亡くなった後に、遺産から費用を出すかどうかや、相続人の間での精算については、相続の取り決めに関わることがあります。迷う場合は、司法書士・弁護士・税理士に相談しましょう。


遠方だと費用は高くなる?

結論:作業そのものの料金は、物の量や間取り、作業の内容で決まることが一般的です。ただし遠方では、出張費や鍵の郵送費、帰省の交通費など「立ち会いなしならではの費用」がかかる場合があるので、見積書で確かめます。

遠方だからといって、作業の料金が一律に上がるとは限りません。一方で、業者によっては次のような費用を見積もりに含めていたり、別に請求したりすることがあります。

  • 出張費・交通費、作業車の駐車場代
  • 鍵の郵送費(返却分を含む)
  • 保留箱や見つかった貴重品を送る送料
  • 写真・オンライン見積もりと当日の物の量が違った場合の追加料金

これらが見積書に入っているか、入っていない場合はいくらかかるかを、契約前に確認しましょう。国民生活センターは、作業当日に追加料金を請求されたり、高額なキャンセル料を請求されたりする相談があるとして、料金・キャンセル料・具体的な作業内容を事前に確認するよう呼びかけています(出典:国民生活センター「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル」)。

あわせて、家族側の費用(帰省の交通費・宿泊費、キーボックスの購入費など)も、きょうだいで費用を分けるときの総額に入れておくと、あとで不公平感が出にくくなります。売れる物がある場合は買い取りで費用の一部をまかなう方法もありますが、買い取りがある場合は古物商の許可の有無を確認しましょう(同・国民生活センター「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」)。


立ち会いなしで起きやすいトラブルと防ぎ方

結論:多くのトラブルは「見えないところで起きる」ことが原因です。リスト・写真・書面の3つで、見える形にして防ぎます。

立ち会いなしのトラブルと防ぎ方。残す物が処分された→写真つきリスト+保留箱。当日の追加料金→押し入れの中まで撮る、追加は事前に承認。高額なキャンセル料→契約前に書面で確認。鍵が戻らない→返却の方法と日付を決める。近所からの苦情→作業日を事前に連絡。許可のない回収→許可の有無を市区町村で確認。
起きやすいトラブル防ぎ方
残すはずの物が処分された写真に印をつけた残す物リストを渡し、現地にも目印をつける。迷う物は保留箱へ
作業当日に追加料金を求められた押し入れ・物置の中まで写真を撮って見積もりに入れてもらう。追加作業は金額を聞いてから承認するルールにする
解約したら高額なキャンセル料を請求されたキャンセル料の金額と、いつから発生するかを契約前に書面で確認する
作業が終わらず、日程が延びた作業日数と、終わらなかった場合の扱いを見積もりの段階で確認する
鍵がなかなか返ってこない返却の方法・日付を契約時に決め、追跡できる方法で返してもらう
近所からトラックや音について苦情が来た作業日・時間・車の台数を、事前に近所や自治会、管理会社に伝えておく
回収した物が適切に処分されたか分からない家庭の廃棄物を運ぶ業者が、市区町村の一般廃棄物処理業の許可(または委託)を受けているか確認する

家庭から出る廃棄物を回収するには、市区町村の「一般廃棄物処理業の許可」か市区町村からの委託が必要で、「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」では回収できないと環境省が案内しています(出典:環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」)。許可の有無が分からないときは、実家のある市区町村の窓口に問い合わせると確認できます。

業者とトラブルになったときは、一人で悩まず消費者ホットライン「188」に電話すると、身近な消費生活センター等の相談窓口を案内してもらえます(出典:消費者庁「消費者ホットライン」)。


遠方対応の業者を選ぶチェックポイント

結論:料金の安さだけでなく、「報告のしかた」「許可」「書面」の3点で比べます。見積もりは2〜3社から取りましょう。

国民生活センターは、複数の事業者から見積もりを取り、作業日・作業内容・料金・支払方法・解約料などを確認するよう呼びかけています(出典:国民生活センター「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」)。遠方から頼む場合は、これに「立ち会いなしへの対応」を加えて確認します。

問い合わせ・見積もりのときに確認したいこと

  • 立ち会いなしでの作業と、鍵の預かりに対応しているか
  • 作業前・途中・完了の写真報告や、ビデオ通話に対応しているか
  • 見積書に、作業内容(どの部屋の何を、どこまで)と金額の内訳が書かれているか
  • 写真・オンライン見積もりの金額は「概算」か「確定」か。追加料金が出る条件は何か
  • キャンセル料の金額と、発生する時期
  • 家庭の廃棄物を運ぶ場合、一般廃棄物処理業の許可(または市区町村の委託・許可業者との連携)があるか
  • 買い取りがある場合、古物商の許可があるか
  • 鍵の管理方法と、返却の方法・日付
  • 支払いのタイミング(作業前か、完了確認の後か)と方法
  • 契約内容を書面(紙・PDF・メール)で受け取れるか

買い取りもお願いする場合の、古物商の許可の確かめ方や買取の明細のチェック項目は、遺品整理と買取は一緒に頼むべき?で詳しく解説しています。

1社ずつ探して同じ説明を繰り返すのが大変なときは、条件を伝えて複数の業者を紹介してもらえるサービスを使う方法もあります。紹介された業者にも、上のチェック項目を聞いてみてください。


よくある質問

Q1. 親が施設に入っていて、家だけが残っています。子どもだけで片付けを頼んでもいいですか?

親が存命なら、家も中の物も親のものです。施設に入っている場合も、片付けてよい範囲と残したい物を本人に確認し、了解を得てから頼みましょう。漫画のように、ふみさんが「写真と手紙は残して」と伝えてくれれば、それがそのまま残す物リストになります。契約者や支払いを誰にするかも、家族で決めておきます。親の判断能力に不安がある場合や、契約・お金の管理に迷う場合は、地域包括支援センターや司法書士・弁護士などの専門家に相談してください。

Q2. 仏壇はどうすればいいですか?

仏壇の扱いは、宗派や家の考え方によって異なります。手放す場合は、まず菩提寺に相談し、閉眼供養(魂抜き)をどうするか決めてから、業者に運び出しを頼むのが一般的とされています。遠方の場合は、お寺の都合に合わせて作業日を決める必要があるため、スケジュールの4週間前の段階でお寺に相談しておくと安心です。業者が供養の手配に対応しているかどうかも、見積もりのときに確認しましょう。仏壇・思い出の品の考え方は、実家じまいは何から始める?でも紹介しています。

Q3. 近所への挨拶はどうすればいいですか?

作業日にはトラックが停まり、人の出入りや音も出ます。作業日・時間・車の台数を、事前に両隣やお向かい、自治会長などに伝えておくと、立ち会えない日でも安心です。帰省のときに直接挨拶できればよいですが、難しければ手紙を郵送したり、親しい近所の人に電話で伝えたりする方法もあります。業者が作業前に近所へ挨拶してくれるかどうかも、確認しておきましょう。

Q4. 実家が賃貸住宅です。気をつけることはありますか?

賃貸住宅の場合は、退去の期限から逆算してスケジュールを立てます。合鍵の作成やキーボックスの設置、作業日の共用部分の使い方などは、管理会社や大家さんに事前に確認しましょう。退去時の立ち会いの日程も、片付けの作業日とあわせて調整しておくとスムーズです。


まとめ:遠方でも「鍵・リスト・報告」を決めれば任せられる

今日からできる3つのこと。1「帰省できる日」を決めて作業日を逆算する。2残す物・探してほしい物を家族で書き出す。3立ち会いなし・写真報告に対応しているか2〜3社に聞く。

遠方の実家の遺品整理は、立ち会えないからといって諦める必要はありません。大切なのは、立ち会えない分を事前の取り決めと報告で補うことです。

  • 鍵:追跡できる方法で合鍵を渡し、返却の方法と日付を決める
  • リスト:写真に印をつけた残す物リストと、探してほしい物リストを渡し、迷う物は保留箱へ
  • 報告:作業前・途中・完了を写真やビデオ通話で確認し、追加作業は事前に承認する
  • 帰省1回は、貴重品の確保・目印・写真・見積もりにまとめて使う
  • 見積もりは2〜3社から取り、契約内容は書面で受け取る

一つずつ決めていけば、遠くからでも実家の片付けは進められます。

漫画④『さとみさんちの実家じまい日記』「鍵が返ってきた日」

2コマ漫画「鍵が返ってきた日」。さとみが返ってきた鍵を手に取り、タブレットで作業前後の写真を見た弟たくやが安心する。保留箱から手紙を受け取った母ふみが「残してくれて、ありがとうね」と笑い、ぽん助が「一つずつ、ぽん!」。※この漫画はフィクションです
※この漫画はフィクションです タップで拡大
漫画の内容を文字で読む
  1. 1コマ目:さとみ「鍵も戻ってきたよ」たくや「完了の写真、安心したよ」
  2. 2コマ目:ふみ「残してくれて、ありがとうね」ぽん助「一つずつ、ぽん!」

この記事を書いた人・運営者情報

  • 執筆:さとみ(やさしい終活ノート編集部)。親の終活・実家じまいについて、公的機関の情報をもとに、漫画と図解でわかりやすく整理して発信しています。
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参考資料(2026年10月10日閲覧)

更新履歴

  • 2026年10月10日:記事を公開しました